家庭の事情を打ち明けるのは特に抵抗はないので、私は穏やかに話し続ける。
「兄は父の連れ子で、私は母の。弟だけは唯一血の繋がった両親の子です。でも皆すごく仲良しで、元から本当の家族みたいなんですよ」
「……そうだったのか」
彼は私から目を逸らさず、表情も変わらないものの、しっかりと話に耳を傾けてくれているのがわかる。
いずれ話すことになるだろうし、この機会にすべて教えておこう。
「母が離婚したのは、この写真を撮って間もなくだと思います。よく覚えていないんですけど、父方の祖母に可愛がられていなかったことだけは記憶にあります。私も母も、なぜかいつも冷たくあしらわれてて……。離婚の原因はそれもあったと思います」
断片的に覚えている記憶を引っ張り出せば、『どうして産まれてきたのがこの子なんだい』と、私に向かって忌々しそうに言う祖母の姿が蘇ってくる。当時の父が、私たち母子の味方をしてくれた覚えもない。
なにかしたわけでもないのに、なぜあんなに疎まれていたのかは今でもわからないし、知りたくもない。新しい家族ができて幸せな今、そんなことを掘り返す必要もないだろう。
「兄は父の連れ子で、私は母の。弟だけは唯一血の繋がった両親の子です。でも皆すごく仲良しで、元から本当の家族みたいなんですよ」
「……そうだったのか」
彼は私から目を逸らさず、表情も変わらないものの、しっかりと話に耳を傾けてくれているのがわかる。
いずれ話すことになるだろうし、この機会にすべて教えておこう。
「母が離婚したのは、この写真を撮って間もなくだと思います。よく覚えていないんですけど、父方の祖母に可愛がられていなかったことだけは記憶にあります。私も母も、なぜかいつも冷たくあしらわれてて……。離婚の原因はそれもあったと思います」
断片的に覚えている記憶を引っ張り出せば、『どうして産まれてきたのがこの子なんだい』と、私に向かって忌々しそうに言う祖母の姿が蘇ってくる。当時の父が、私たち母子の味方をしてくれた覚えもない。
なにかしたわけでもないのに、なぜあんなに疎まれていたのかは今でもわからないし、知りたくもない。新しい家族ができて幸せな今、そんなことを掘り返す必要もないだろう。



