見習い夫婦～エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます～

「今日東京に帰る予定だから、その前にもう一度会っていこうと思ったんだ。泰永さんに『どうぞ上がってください』と言われて、お言葉に甘えさせてもらった」


そうだったのかと納得すると共に、帰る前にこうして会いに来たということは結構本気なのかも、と再確認させられる。

胸がざわめくのを感じていると、じっと私を観察する彼の視線に気づき、すぐにはっとした。今の私は、人様に見せられるような格好ではないじゃないか。


「さっそく君が言っていた意味がわかったよ。確かに、昨日とはだいぶ印象が違う」


涼しげな顔でまたしてもはっきりと言い放たれ、私は残念な気分で脱力した。

農作業用の薄汚れたエプロンをつけ、腕にはアームカバー、さらにもんぺみたいなワークパンツを長靴にインしている姿は田舎者丸出しだ。せめて乱れた髪の毛くらいは直すんだった……。

しかし、これはれっきとした仕事着だ。なにも恥じることではない。私も堂々としていようと思い、開き直って胸を張る。


「ほら、芋っぽいでしょう。これが茶娘というものです」

「ああ、悪くない」


小さく頷いた彼の口から、予想外の言葉が出てきて、私はつい「えっ」と声を漏らした。