見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~

見つめ合って照れた笑みをこぼしていると、無邪気な声が耳に届く。


「あー、けっこんしてるー」


見下ろせば、ニヤリとした娘がいつの間にかこちらを凝視していた。

彼女にとっての〝けっこんしてる〟は〝イチャイチャしてる〟という意味らしい。

なんだか恥ずかしくて、私はオバケの真似なのか妖怪なのかよくわからないが、棗に両手を向ける。


「見たな〜」

「きゃー!」


面白そうに逃げだす彼女を追いかけようとした、そのとき。肩を抱いて引き寄せられ、周さんのほうを振り向いた瞬間に唇を奪われた。

ささやかなキスをして、いたずらっぽく口角を上げた彼は、立てた人差し指を唇に当てる。

内緒のお戯れにキュンとしつつ、彼への愛しさがまたひとつ増して、私はクスクスと笑った。

娶られる前に、愛も、子供も育みたいと願った。

その願いは叶ったが、私は現在進行形で旦那様に恋をしている。きっと、いつまでも。



──数ヶ月後、私たちは新たに青や緑系の服、車や飛行機などの絵がプリントされたベビー用品を買いそろえることになった。

これからは家族四人で、途切れることのない深い絆を育んでいこう。


 □*:;;:* End *:;;:*■