見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~

「ほんと!? なんで!?」

「サンタさんが慌てんぼうだからかな」


そのひとことで、棗はピンとひらめいたような顔をして「そっか!」と納得し、慌てんぼうのサンタクロースを歌い始める。

上手いことを言って気を逸らせたな、周さん。


──しかし、彼の発言は決して嘘ではない。実は今、私のお腹の中にふたり目となる新しい命が宿っているから。

現在妊娠四か月。十二月の初めには産まれる予定だ。順調にいけば、今年のクリスマスは家族四人で過ごせるだろう。

棗に教えるのはもう少しお腹が目立つようになってからにしようかと思っていたが、ちょうどいいきっかけだったかもしれない。

着物の上から、まだたいして膨らんでいないお腹に手を当てると、自然に笑みがこぼれる。

性別はまだわからないが、男女どちらでも元気に産まれてきてくれたらいい。……まあ、男の子も育ててみたいのが本音だけれど。

跡取りのことはあまり気にせず、棗のときよりもだいぶおおらかな気持ちでマタニティライフを過ごしている。

そんな私に周さんが寄り添い、お腹に当てる私の手に彼のそれも重ねる。