見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~

そんなしょうもない会話をしてリビングに入ると、先に来ていた棗が棚の上に飾られたスノードームを見上げている。


「クリスマス、まだ〜?」


唐突で気の早い問いかけに、つい笑ってしまう。クリスマスまで、あと半年もあるのだから。


「まだまだ先だね。どうして?」

「プレゼントほしい」


まあ、それしかないよね。と思いつつ、「欲しいものがあるの?」と聞いてみる。

すると、彼女は期待を膨らませた様子で大きく頷く。


「うん。あかちゃん!」

「えっ」


予想外すぎるものに、私はドキッとして周さんと目を見合わせる。彼も驚いたように目を丸くしている。


「みーちゃんちにね、あかちゃんきたって。すっごいかわいいって。なつもあかちゃんほしい!」


目をキラキラと輝かせて一生懸命しゃべる娘に、私は言葉を詰まらせてしまう。

幼稚園のお友達の家に、確かに最近子供が産まれたと聞いている。でも、まさか赤ちゃんをリクエストされるとは。

なんと答えたらいいかと考えあぐねていたとき、周さんが先に口を開く。


「もしかしたら、クリスマス前に会えるかもしれないぞ」


意味深な笑みを浮かべてそんなふうに言うので、棗はビー玉みたいな瞳を大きく見開いた。