畑から戻ってくると、まず縁側で被っていた日除けつきの麦わら帽子を取り、そこにぽいっと置く。ボブの髪が乱れていても、当然気にしない。
「はあ〜、あっつー。ビール飲みたーい」
どかっと腰を下ろし、両手を後ろについて天を仰いだ。今日は日差しが強くて暑いから、畑仕事で汗を掻いたあとのビールは格別に違いない。
……と、天井を見上げてだらけきっていた、そのときだ。
「そこは煎茶じゃないのか」
この家で聞こえるはずのない、艶のある低い声が響く。同時に、私を見下ろす美しくも無愛想な顔がぬっと視界に入り込んできたので、心臓が止まりそうになった。
「ひええっ!?」
思わず叫び声を上げて身を縮める。改めて振り仰げば、ワイシャツにスーツベストを合わせた姿で腕組みをしているその人は、紛れもなく一柳 周さんだ。
び、びっくりしたー! どこから現れたんですか!
「なぜそんなに驚く。『また来る』と言っただろう」
「いや、まさか昨日の今日でいらっしゃるとは……」
思わないでしょうよ。本当にまた来るのかどうかも疑わしかったのに。
瞠目しっぱなしの私に、一柳さんはすでに家族の一員になったかのごとく堂々とした佇まいで説明する。
「はあ〜、あっつー。ビール飲みたーい」
どかっと腰を下ろし、両手を後ろについて天を仰いだ。今日は日差しが強くて暑いから、畑仕事で汗を掻いたあとのビールは格別に違いない。
……と、天井を見上げてだらけきっていた、そのときだ。
「そこは煎茶じゃないのか」
この家で聞こえるはずのない、艶のある低い声が響く。同時に、私を見下ろす美しくも無愛想な顔がぬっと視界に入り込んできたので、心臓が止まりそうになった。
「ひええっ!?」
思わず叫び声を上げて身を縮める。改めて振り仰げば、ワイシャツにスーツベストを合わせた姿で腕組みをしているその人は、紛れもなく一柳 周さんだ。
び、びっくりしたー! どこから現れたんですか!
「なぜそんなに驚く。『また来る』と言っただろう」
「いや、まさか昨日の今日でいらっしゃるとは……」
思わないでしょうよ。本当にまた来るのかどうかも疑わしかったのに。
瞠目しっぱなしの私に、一柳さんはすでに家族の一員になったかのごとく堂々とした佇まいで説明する。



