お開きとなる頃には両親同士すっかり打ち解け、孫の誕生をとても楽しみにして帰っていった。
片づけまで手伝ってくれた藪さんには、後々支払うお礼代とは別に焼酎をプレゼントして、玄関まで見送る。
「藪さんのお料理、皆すごく喜んでましたよ。本当にありがとうございました」
「どういたしまして。顔合わせ、うまくいってよかったな」
微笑ましげにする藪さんに、無愛想な周さんはこんなアドバイスをする。
「いつか藪さんもやるんだろうが、そのときは殴られる覚悟をしておいたほうがいい」
「物騒なこと言うな」
藪さんは即座に仏頂面になり、私はつい笑ってしまった。
確かに、ほのかちゃんとは十五歳差なんだもの。彼女のご両親が何歳かわからないけれど、すんなり受け入れてもらえるとは限らない。
まだ付き合ってもいないのに、勝手に結婚まで思考を飛ばしていると、藪さんは「ま、生半可な気持ちじゃねーから大丈夫だ」と、さらっと言い放った。
彼が不敵な笑みを残して帰るのを見送ったあと、玄関ホールを歩く私は自然に顔がニヤけている。



