見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~

すると、周さんの表情が柔らかくほころぶ。


「悪くない名づけ方だ。……ありがとう」


穏やかな声色で口にされた感謝のひとことには、自分を産んで、育ててもらったことに対しての気持ちが込められているような気がした。

それをご両親も感じ取ったのだろう。ふたりとも目を見開き、お義母様はその瞳をゆらゆらと潤ませていた。

周さんはたぶん、自分が愛されて産まれてきたことを確認したかったんじゃないだろうか。その上で、お義母様に対して〝後悔しないでくれ〟と伝えているようにも思える。

私まで感動し、ちょっぴりうるっとしてしまった。

皆が温かな空気に包まれる中、雰囲気をぶち壊すのは無邪気にニコニコしているわが父だ。


「周くんの名前にはそういう意味があったんですね~。うちは〝茶にちなんだ名前にしよう!〟って考えしかなかったもんで、一番上の子なんて玄米茶──」

「あなた、空気読んで」


母が速攻でツッコみ、笑いが起こった。

こんな両親に私だってもちろん感謝しているし、自分も親になろうとしている今、ふたりの偉大さがよくわかる。

お手本はやはり両親で、いつまでも尊敬する存在なのだとしみじみ感じていた。