寡黙なお義父様は腕をぽんぽんと叩かれ、苦笑を浮かべた。さっきから、父ふたりはなんとも肩身が狭そうだ。
お義母様は伏し目がちになって続ける。
「それなのに、私は希沙さんにも同じ辛さを味わわせようとしていた。あとから周に諭されて自分の愚かさに気づき、後悔しました」
そう、実はこれまでに、周さんは何度かお義母様に電話で説得していたというから驚いた。
家柄は関係なく庶民の私を娶りたいことや、万が一妊娠に至らなくても結婚したいことを強く訴えていたらしい。
そこで周さんが放った、『希沙を自分と同じ目に遭わせるのか』というひとことで、お義母様は考え直したそうだ。
私はまったく知らなくて、彼が陰でそこまで懸命になってくれたことが嬉しかった。
しかし、逆にお義母様はこれまでを振り返って、自分を責めているように感じる。
「周にも厳しく教育して、一柳家の当主になる身として相応しい人間に育てたつもりですが……その代わりに、この子の笑顔を失くしてしまいました」
やや泣きそうな顔で声を震わせる彼女を見て、胸が痛む。私の向かい側に座る周さんはやはり無表情で、なにを思っているかは読み取れない。
お義母様は伏し目がちになって続ける。
「それなのに、私は希沙さんにも同じ辛さを味わわせようとしていた。あとから周に諭されて自分の愚かさに気づき、後悔しました」
そう、実はこれまでに、周さんは何度かお義母様に電話で説得していたというから驚いた。
家柄は関係なく庶民の私を娶りたいことや、万が一妊娠に至らなくても結婚したいことを強く訴えていたらしい。
そこで周さんが放った、『希沙を自分と同じ目に遭わせるのか』というひとことで、お義母様は考え直したそうだ。
私はまったく知らなくて、彼が陰でそこまで懸命になってくれたことが嬉しかった。
しかし、逆にお義母様はこれまでを振り返って、自分を責めているように感じる。
「周にも厳しく教育して、一柳家の当主になる身として相応しい人間に育てたつもりですが……その代わりに、この子の笑顔を失くしてしまいました」
やや泣きそうな顔で声を震わせる彼女を見て、胸が痛む。私の向かい側に座る周さんはやはり無表情で、なにを思っているかは読み取れない。



