見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~

彼女の言葉は私の胸にも響くものがあった。

産まれてくる子を幸せにできるかと悩んでいたけれど、いつかは自分の力で未来を切り開いていくのだ。心配もほどほどにしたほうがいいのかもしれない。

そんなふうに考えていると、娘さんはすっきりとした笑顔をこちらに向ける。


「それじゃ一柳さん、お幸せに」


穏やかな声をかけ、待っている友人のもとへ歩き始める彼女に、私も笑顔で「ありがとうございます……!」と頭を下げた。

心を軽くしてくれた彼女に感謝しきりで見送ったあと、熟女様方はいそいそと仕事に戻っていく。

それからはぎこちなさはあるものの、「妊婦さんは休んでていいわよ!」と気を遣ってくれて、そのあからさまな変わり様には笑ってしまった。

橘さんは決まりが悪そうに「……ごめんなさいね」と言い、ほのかちゃんは私たちを優しく見守っていた。

旧一柳邸での日々は、これからますます充実したものになりそうだ。


 *

二月に入り、つわりらしき症状が急に軽くなったことと、周さんのご両親が帰国できる時期になったことで、ようやく親同士の顔合わせを行える日がやってきた。

私の体調を考慮して、皆には一柳家に集まってもらっている。