見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~

幸せにするというのは、子供に産まれたことを後悔させないために、自分にできることを精一杯やって支えていくことなのかもしれない。

血筋がどうのと心配するより、その努力をするべきなのだ。それがきっと、周さんが言っていた責任ということにもなるのだろう。

今頃気づいた自分が恥ずかしいけれど、心にかかったもやは綺麗に晴れていくのを感じていた。


遅めの昼食で久々に母の手料理を食べ、男性陣とも時間が許す限り話をして、楽しいひとときを過ごした。

四時間ほどしかいられなかったにもかかわらず、心はすっかり元気になっている。家族って本当に心地よくて、すごいパワーを与えてくれる。

帰りの新幹線の中で、私は流れていく景色をぼんやり眺め、帰りがけに母が『私と希沙とで違うことがひとつあるわ』と言ったことを思い出していた。


『話を聞いている限りだけど、周さんは希沙のことを本当に愛していると思うし、希沙も彼が大好きでしょう。私が持っていた程度の愛では壁を乗り越えられなかったけど、あなたたちならきっといい家族になれるわよ』