見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~

第一声がそれか……まあ急だったし、お母さんにしか連絡を入れていないから無理もない。

なるべく明るく「ただいまー」と声をかけて家に入ると、「おお!? おかえり、希沙!」と感激する父を筆頭に、ものの数分で全員が居間に集まった。

相変わらず賑やかな家族だ。母もスマホを片手に、驚きの形相でこちらに詰め寄ってくる。


「ちょっと、希沙! 帰ってくるって連絡に気づいたのついさっきよ! どうしたの、急に」

「ごめん。お母さんと親子水入らずで話したくなって」


へらりと笑って答えると、母はなにかを察知したらしく心配そうな顔に変わる。

一方、あっけらかんとしているのは当然ながら陸だ。


「マリッジブルーってやつ? てか、いつ結婚すんの。もう籍入れればいいじゃん」


今の私にとっては結構痛い言葉を放たれ、胸がキリキリしてくる。苦笑交じりに「そうなんだけどね……」と呟いたものの、現実が重くのしかかって頭を垂れた。

それを見て、玄にいが落ち着いた声で陸に言う。


「陸、地雷踏んだらしいぞ。謝れ」

「え!? 俺、変なこと言った? 皆が思ってること代弁しただけなのに」

「お前もう黙っとけ」