見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~

「希沙ちゃんに会うと、不思議とインスピレーションが湧いてくるんだよ。だから度々、煎茶道教室に通ってたんだ」

「そう、だったんですか……?」


そんな理由があったとは意外すぎる。どうしてなのかは謎だが、彼の仕事の力になれていたなんて光栄だ。

自分をイメージして服を作ってくれたのも、貴重な機会だし単純に嬉しい。

口元を緩めて、再びワンピースに視線を戻した、そのときだ。突然、背後から腕を回されてぎゅっと抱きしめられた。

ええっ、な、なんで!? やだ、身体が硬直する……!


「ちょ、富井さ……っ!」

「ごめん、このまま聞いてくれる? 滅多に言わないこと言うから、顔見られんの恥ずかしい」


私の肩におでこを乗っけている彼の、珍しく弱気な声が耳元で響く。

一体なにを言おうとしているのかも気になるが、まず身体が強張ってしまって突き放すこともできないので、黙って次の言葉を待つ。


「俺、君のことが好きなんだと思う。これは冗談とか、遊びなんかじゃない」


真剣な声色で紡がれた告白に、心臓がドキリと波打った。

富井さんが私を? 周さんと婚約しているって知っているのに……本気で?