「このチャンス逃したら、姉ちゃんは当分独り身だよ。『小腹が空いたけど、作るのも買い物行くのもめんどくさい』つってスイートコーン缶食ってるような女だよ? しかも缶にスプーン突っ込んで。せめて器に盛れっていう」


うっ、心当たりがありすぎる……。

遠慮のない弟に干物っぷりを暴露され、私は頭を垂れた。「そんなことしてたの?」と呆れる母の視線が痛い。

うなだれる私に構わず、陸はグラスに入った琥珀色のお酒を指差し、なんとなく嫌そうな顔をして言う。


「今だって、なんかオッサン臭い酒飲んでるしさ」

「紹興酒だってば。チョコレートをおつまみにしてるんだよ、オシャレでしょ」

「うげー。合うの? それ」


ぬる癇にした紹興酒のグラスを陸の鼻に近づけると、独特な匂いを嗅いだ彼は愛嬌のある顔をしかめた。そして今度は、煎茶を淹れている玄にいを指差し、「つーか、茶を飲めよ!」とツッコむ。

もちろん煎茶もいただきますよ。お酒を飲んだあとにね。

言い合う私たちを見兼ねたのか、玄にいが皆に煎茶を配りながら、逸れていた結婚話に戻す。