仕草や立ち居振る舞いを見ていても、育ちのよさが滲み出ているのがわかった。
それに、彼は煎茶をいただくマナーも完璧だったので、私はなにげに驚いていたのだ。男性で知っている人はあまり多くはないだろうから。
私もまさに勘なのだが、あの人が〝ただ金持ちなだけの変な男〟だとは思えない。
「……たぶん、私たちを騙そうとか、悪いことを考えてる人ではないと思う。泰永の煎茶を気に入ったっていうのも、出まかせには感じなかったし。すごく綺麗な顔立ちなのに堅物で愛想悪くて、ストレートに物事を言うタイプみたいだけどね」
玄にいの問いかけに返答しながら、一柳さんには拳銃を手にした悪の組織の冷血なボス役とか似合いそうだな、とアホなことを考えて苦笑した。
でも……最後に一瞬かいま見えた微笑みが、どうしてか頭から離れない。あのクールな顔が柔らかに崩れるところを、もっと見たいと思ってしまう。
お嫁に行けば、あの人の素を知れるのか。
……いやいや、一柳さんと結婚するメリットはそんなことじゃなくて、泰永茶園と家族の未来のためだって。
むくっと湧き上がった好奇心を抑え、与えられた選択肢について真面目に思案する。
それに、彼は煎茶をいただくマナーも完璧だったので、私はなにげに驚いていたのだ。男性で知っている人はあまり多くはないだろうから。
私もまさに勘なのだが、あの人が〝ただ金持ちなだけの変な男〟だとは思えない。
「……たぶん、私たちを騙そうとか、悪いことを考えてる人ではないと思う。泰永の煎茶を気に入ったっていうのも、出まかせには感じなかったし。すごく綺麗な顔立ちなのに堅物で愛想悪くて、ストレートに物事を言うタイプみたいだけどね」
玄にいの問いかけに返答しながら、一柳さんには拳銃を手にした悪の組織の冷血なボス役とか似合いそうだな、とアホなことを考えて苦笑した。
でも……最後に一瞬かいま見えた微笑みが、どうしてか頭から離れない。あのクールな顔が柔らかに崩れるところを、もっと見たいと思ってしまう。
お嫁に行けば、あの人の素を知れるのか。
……いやいや、一柳さんと結婚するメリットはそんなことじゃなくて、泰永茶園と家族の未来のためだって。
むくっと湧き上がった好奇心を抑え、与えられた選択肢について真面目に思案する。



