約二か月前の明るく絡みやすい彼が行方不明で瞠目する私に、彼は病的な形相で尋ねてくる。
「君がここで煎茶道を披露しているのはいつ……?」
「あ、ええっと……一番近い日だと、来週の水曜日ですが」
ビクビクしながらも答えると、富井さんはゆっくり頷く。そして口の端を持ち上げ、「わかった……来週また来るよ」と告げて顔を離した。
踵を返してのっそりと帰っていく彼の背中に向かって、軽くホラーだよ……と心の中で呟く。心晴さんもかなり怪訝そうだ。
「誰? あのなんか病んでそうな人」
「周さんの同級生で、有名なデザイナーさんなんです。今日はなぜか生気を感じないですけどね……」
私は引きつった笑みを浮かべて答えつつ、一体どうしたのかと首をひねるばかりだった。
その日は早番だったので、仕事を終えたあとに再び心晴さんとカフェで落ち合い、時間の許す限りいろいろなことを語り合ってきた。
子作りの赤裸々な話も、妊娠と出産の経験がある心晴さんが一番相談しやすいのだ。
ほのかちゃんにも周さんと両想いになれたことは打ち明けているものの、まだ若い彼女にこの手の話をしても困らせてしまうだろうし。
「君がここで煎茶道を披露しているのはいつ……?」
「あ、ええっと……一番近い日だと、来週の水曜日ですが」
ビクビクしながらも答えると、富井さんはゆっくり頷く。そして口の端を持ち上げ、「わかった……来週また来るよ」と告げて顔を離した。
踵を返してのっそりと帰っていく彼の背中に向かって、軽くホラーだよ……と心の中で呟く。心晴さんもかなり怪訝そうだ。
「誰? あのなんか病んでそうな人」
「周さんの同級生で、有名なデザイナーさんなんです。今日はなぜか生気を感じないですけどね……」
私は引きつった笑みを浮かべて答えつつ、一体どうしたのかと首をひねるばかりだった。
その日は早番だったので、仕事を終えたあとに再び心晴さんとカフェで落ち合い、時間の許す限りいろいろなことを語り合ってきた。
子作りの赤裸々な話も、妊娠と出産の経験がある心晴さんが一番相談しやすいのだ。
ほのかちゃんにも周さんと両想いになれたことは打ち明けているものの、まだ若い彼女にこの手の話をしても困らせてしまうだろうし。



