見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~

わが弟が失礼すぎるのは今に始まったことじゃないので、慣れっこの私は据わった目をして軽く受け流す。


「陸、親しき仲にも礼儀ありって言葉を知らないなら今覚えろ。……と言い続けて何年経っただろうな」


もはや諦めの表情で苦言を呈するのは、二歳年上の兄・(げん)にいだ。爽やか系イケメンで優等生タイプの、私とまったく似ていない完璧な兄である。

昔から女子に人気があり、にもかかわらずひとりの人と長く付き合うタイプで、そこがまた好感度の高いところ。綺麗で性格のいい今の彼女さんとも長いし、そのうち結婚するだろう。

一方の陸は、ノリがよくて見た目もチャラい感じの今どきの男子。玄にいと同じくモテモテで、二股や浮気はしない主義らしいけど、派手めな女の子と付き合うことが多いので、将来どんな子を嫁にするのか密かに心配だったりする。

私のことは遠慮なくけなしてくる弟だが、実は姉思いの一面もあることを知っている。優しい玄にいはもちろん、陸のこともなんだかんだで好きだ。