見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~

そこまでで一旦言葉を区切り、私の身体を抱きしめ直した彼から、突如セクシーな声が紡がれる。


「できるまで毎晩頑張ろうか、希沙」

「へっ!?」


とんでもない発言に、私は一瞬頭がパニックになって、すっとんきょうな声を上げた。富井さんは、ぽかんとしつつも「わーお」と呟く。

な、なんですか今の、周さんらしからぬ絶倫発言は! しかも、わざと富井さんにも聞かせたでしょう!?

おそらく彼を挑発しているだけなのだろうが、私は沸騰しそうなくらい真っ赤になってあたふたしてしまう。

周さんはいたって涼しげな顔で、こちらを静観している富井さんに告げる。


「とにかく、心配には及ばない。俺も、この子を幸せにするために娶るんだから」


その言葉は、一柳家のためだけに結婚するわけじゃないというふうに受け取れて、胸に温かく沁み込んでいく。

周さんを見上げていると、彼は「失礼する」と短く言い、私の手を取って歩きだす。

すれ違いざまに視界に入った富井さんは、なにかを考えているようにも見える無表情だった。