「おい、愛を語る相手を間違えているだろう」
そんな言葉と共に、よろける私を抱き留めるのはもちろん、無愛想な婚約者様だ。
「周さん……!」
社長さんとの話、終わったんだ。
いや、それより今、『愛を語る相手を間違えている』と言ったよね? てことはもしや……私の告白を聞かれてた!?
はっとして息を呑むも、周さんは富井さんに向かって威圧的な視線を向けている。
「どうしてこの状況になったのかは後回しにするとして、まさか、富井まで跡取りがどうのと言って希沙を困らせたんじゃないだろうな?」
富井さんは臆する様子もなく、腕組みをして口元にだけ不敵な笑みを浮かべる。
「教えてあげたんだよ、一柳家の嫁事情を。どうせ深い部分は内緒にしたまま婚約したんだろ」
「は……それはご親切にどうも」
鼻で笑った周さんは、完全に棒読みで嫌味を返した。そして、心底くだらないといった調子で続ける。
「愛し合った末に子供を授かるのは自然なことで、俺たちもそれを望んでいる。ただそれだけのことだ。なのに、下世話な話が好きな者ばかりだから……仕方ない」
そんな言葉と共に、よろける私を抱き留めるのはもちろん、無愛想な婚約者様だ。
「周さん……!」
社長さんとの話、終わったんだ。
いや、それより今、『愛を語る相手を間違えている』と言ったよね? てことはもしや……私の告白を聞かれてた!?
はっとして息を呑むも、周さんは富井さんに向かって威圧的な視線を向けている。
「どうしてこの状況になったのかは後回しにするとして、まさか、富井まで跡取りがどうのと言って希沙を困らせたんじゃないだろうな?」
富井さんは臆する様子もなく、腕組みをして口元にだけ不敵な笑みを浮かべる。
「教えてあげたんだよ、一柳家の嫁事情を。どうせ深い部分は内緒にしたまま婚約したんだろ」
「は……それはご親切にどうも」
鼻で笑った周さんは、完全に棒読みで嫌味を返した。そして、心底くだらないといった調子で続ける。
「愛し合った末に子供を授かるのは自然なことで、俺たちもそれを望んでいる。ただそれだけのことだ。なのに、下世話な話が好きな者ばかりだから……仕方ない」



