見習い夫婦～エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます～

その言葉を聞いたとき、惑わされそうな心の揺れが、なぜかぴたりと止まるのを感じた。

富井さんの言う通り、嫌な思いはするかもしれない。そうなったとき、周さんはなにもしない人だろうか。

……いや、彼ならきっと私を守ろうとする。どうするべきか一緒に考えるはず。そう信じようと思えるのは、ふたりで過ごしてきた中で、彼は私をちゃんと見てくれていると感じるから。

そして、私が彼を愛しているからだ。

周さんと共に生きていきたいと願った瞬間を思い出し、私は顔を上げて富井さんと向き合う。


「大丈夫です。私には愛がありますから」


迷いのない瞳で微笑むと、彼は意表を突かれたように目を見張る。


「周さんのことが好きだから、結婚したいし子供も欲しい。私は、幸せになるために一柳家に嫁ぐんです」


決して、子供を産む道具になるつもりはない。私には彼と愛し合って家族を作りたいという、自分の意思があるから。

毅然と自分の気持ちを放ち、富井さんと視線を絡ませた数秒後、突然横から腕を引かれた。