そうして会場を出たところで、先ほど挨拶をした社長様が周さんを呼び止める。どうやらビジネス関係の話があるらしい。
周さんは私を気にしつつも、「悪い、少しだけいいか?」と尋ねる。私はもちろん承諾し、その間にお手洗いに行くことにした。
会場から一番近くのトイレに向かうと、ショーを鑑賞していた方々が列を成している。
やっぱり混んでるな……。待ってるより、別のトイレを探したほうがいいかも。
とはいえ、この階のどこになにがあるのかはちゃんと把握していないので、どこかに案内がないかをキョロキョロと探す。
そのとき、後ろのほうから「あ、希沙ちゃん」と呼ぶ声がした。振り返れば、にこっと微笑む富井さんが軽く手を挙げる。
袴のようなボトムスを揺らし、大人の男性らしいブーツを鳴らしてこちらに歩いて来る彼は、デザイナーというよりモデルみたいだ。
「富井さん……!」
「どうしたの? キョロキョロして」
「お手洗いが混んでいて、他にないかなと」
素直に白状すると、富井さんは前方を指差し、「あっちにあるよ。おいで」と微笑んで歩きだす。
私は単純にありがたく思い、ついていくことにした。
周さんは私を気にしつつも、「悪い、少しだけいいか?」と尋ねる。私はもちろん承諾し、その間にお手洗いに行くことにした。
会場から一番近くのトイレに向かうと、ショーを鑑賞していた方々が列を成している。
やっぱり混んでるな……。待ってるより、別のトイレを探したほうがいいかも。
とはいえ、この階のどこになにがあるのかはちゃんと把握していないので、どこかに案内がないかをキョロキョロと探す。
そのとき、後ろのほうから「あ、希沙ちゃん」と呼ぶ声がした。振り返れば、にこっと微笑む富井さんが軽く手を挙げる。
袴のようなボトムスを揺らし、大人の男性らしいブーツを鳴らしてこちらに歩いて来る彼は、デザイナーというよりモデルみたいだ。
「富井さん……!」
「どうしたの? キョロキョロして」
「お手洗いが混んでいて、他にないかなと」
素直に白状すると、富井さんは前方を指差し、「あっちにあるよ。おいで」と微笑んで歩きだす。
私は単純にありがたく思い、ついていくことにした。



