見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~

ようやく席についてからも、私の左隣と、そのさらに隣に座るセレブな中年女性ふたりから話しかけられた。

偶然周さんのお母様の知り合いだったようで、一方的にぐいぐい来るのだ。


「頑張って跡取りを残さなきゃね。兄弟がいないと寂しいだろうし、せめてふたりはいたほうがいいと思うわ」

「まだ若いおふたりだから心配いらないわよ~」


しまいにはこんな調子で、先ほどの社長様方など比にならないダイレクトな言葉を投げられ、私の笑顔にもヒビが入る。

悪気がないのはわかるけれど……余計なお世話ですから! 周さんのお母様ならまだしも、他人のおば様方に言われるとかなり嫌な気分になる。

しかし、ここで私がケンカ腰になるわけにもいかないので、なんとか苛立ちを堪えていたとき、右隣の周さんが口を開く。


「ええ。ですが、こればかりは自力でどうこうできる問題ではない。私たちに言うよりも、コウノトリにでも祈っていてくださいませんか」


若干口角は上がっているものの、目はまったく笑っていない彼がぴしゃりと言い放った。

おば様方もギクリとしたようで、「そ、そうね。ごめんなさい」と決まりが悪そうに笑い、もう絡んでくることはなくなった。