「女子アナ風希沙ちゃんも見たいんだよ、周は。素直じゃねーなぁ」

「そう、なんですかね……!?」


今のはそういう意味なの? 藪さんの読み通り、たまには私に女らしいファッションをさせたいと彼が思っているのなら……喜んで挑戦させてもらっちゃいますけど。

あっさり思考が切り替わる、単純な私。ほのかちゃんも、「一柳さんも普通の男なんですねぇ」と微笑ましそうにしていた。

すると、ほろ酔い気味の藪さんが私にずいっと顔を近づけ、意味ありげに口角を上げて囁く。


「で、ふたりはどこまでいったわけ? さすがにCまではないだろうから、Bあたりか」

「藪さん……」


オジサン感満載の質問をされ、私はがっくりとうなだれた。その懐かしい言い方、逆にいやらしい気がするのは私だけだろうか。

もちろんバカ正直に答えることはせず濁す私に対して、ほのかちゃんは頭にハテナマークを浮かべているように見える。


「なんですか? CとかBって」

「ほのちゃん知らないの? これがジェネレーションギャップってやつか……」


愕然とする藪さんに笑いながら、昼間の一件で落ち込んだ気分が持ち直していることに気づく。

一柳家の嫁になるための難問に突き当たる中で、皆とのこういうひとときを過ごせることや、周さんとショッピングをする楽しみができたことを嬉しく思った。