見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~

私は膝の上に置いた手をぐっと握る。彼が早まる前に、普段の自分がどんな女かを教えてあげなければ。


「今はちゃんとした格好をしてますけど、休日はパジャマにしてる高校時代のジャージのまま過ごすし、部屋も散らかってるほうが落ち着くし、一晩お風呂に入らなくたって全然平気だし……! 本当の私を知ったら幻滅します。こんな、芋っぽくて可愛げのない女なんて」


ひと思いにまくし立て、深く息を吐き出した。

こんなのは序の口だけど、自分で言っていて切なくなるな……。でも、異性に好感を持ってもらえそうな魅力など思い浮かばないんだもの。

感情的に自虐した私は、数秒後にはっとした。

いけない、この得体の知れない恐ろしげな御曹司様に、ずけずけと言い放ってしまった! 今度こそ本当にお怒りになるかも……!?

やってしまった感いっぱいで、恐る恐る一柳さんに目線を向ける。彼は冷静な表情を崩さずにじっとこちらを見つめていて、おもむろに口を開く。


「確かに君のことはまだよく知らないが、わかっていることもひとつある。その顔だ」


不機嫌になられるかと思いきや、意外な言葉をかけられ、私はキョトンとして自分の頬に手を当てる。