ぽかんとする私に、一柳さんは若干うざったそうな表情と口調になって説明する。
「三十四歳にもなると〝早く結婚しろ〟と周りがうるさくて、義務的に嫁探しをしているが、しっくりくる女性に会えた試しがない。だが、君だけは違う。見た瞬間に、感じるものがあった」
私の奥まで見透かすような、凛とした強さを持つ切れ長の瞳に捉えられ、ドキリとする。
どうやら一柳さんは、不本意ながらお嫁さん募集中のようだ。御曹司だし、体裁とか跡継ぎ問題とか、いろいろとしがらみがあるのだろう。
それはいいとして……勘って。正直ではあるけどいまいち信用ならない気がするし、率直すぎるし。ひと目惚れだと言われれば、まだ胸キュンできるのにな……。
そんなことがあるわけないと自覚しているのに、甘い理由をほんのわずかに期待してしまい、残念な気持ちになる贅沢な自分が恨めしい。
自分自身にもやもやして、つい刺々しい口調になってしまう。
「そんな不確かな勘を頼りに結婚相手を決めていいんですか? 私は、そう簡単には決められません。まだ、一柳さんのことをなにも知りませんし、あなただって私のことをなにもわかっていない」
「三十四歳にもなると〝早く結婚しろ〟と周りがうるさくて、義務的に嫁探しをしているが、しっくりくる女性に会えた試しがない。だが、君だけは違う。見た瞬間に、感じるものがあった」
私の奥まで見透かすような、凛とした強さを持つ切れ長の瞳に捉えられ、ドキリとする。
どうやら一柳さんは、不本意ながらお嫁さん募集中のようだ。御曹司だし、体裁とか跡継ぎ問題とか、いろいろとしがらみがあるのだろう。
それはいいとして……勘って。正直ではあるけどいまいち信用ならない気がするし、率直すぎるし。ひと目惚れだと言われれば、まだ胸キュンできるのにな……。
そんなことがあるわけないと自覚しているのに、甘い理由をほんのわずかに期待してしまい、残念な気持ちになる贅沢な自分が恨めしい。
自分自身にもやもやして、つい刺々しい口調になってしまう。
「そんな不確かな勘を頼りに結婚相手を決めていいんですか? 私は、そう簡単には決められません。まだ、一柳さんのことをなにも知りませんし、あなただって私のことをなにもわかっていない」



