見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~

茶が抽出されたら急須を手で包むように持ち、二回ゆっくり回すのもこの流派独自の方法。

そうして、くっつけて並べた茶碗に、右から左へ三分の一ずつ注ぎ、今度は左から右へ同じ量を注ぐ。茶の濃度を一定にするためだ。

茶を淹れたらひとつずつ茶托に乗せ、お客様にお出しする。ここまでで、一煎目のお点前はおしまい。

とても興味深げにしているトレヴァーさんたちに、周さんがいただき方を教える。綺麗な姿勢で茶碗を口に運ぶ姿は、何度見ても惚れ惚れする。

教えられた通りに実践する皆さんは、飲んだあとに満足げな表情で頷いていた。そして、それぞれが口にした感想を周さんが私に伝える。


「苦味がなく、香りもよくてとても美味しいとおっしゃっている」

「そうなんです。この茶葉は旨味と甘味の成分が豊富な新茶ですし、一煎目は苦味が出にくいので」


淹れ方も茶葉もお気に召してもらえたらしく、ほっとした私はつい泰永の茶葉について語りだしそうになる。しかし、あまりべらべら喋るのもいけないので控えめにしておこう。

すると、ブルネットの短髪と青い瞳が爽やかな印象のトレヴァーさんが、私と視線を合わせ、ジェスチャーを交えてなにか話しかけてくる。