少し肩を落としていると、一柳さんは縁側の向こうにある茶畑のほうを眺め、口を開く。
「ヒトツヤナギが泰永茶園と契約すれば、シェアは広がるだろう。とはいえ、それで需要が増えても生産量を増やすことができなければ意味がない。そのために土地や機械、従業員にかかる費用が必要になるなら、それも私たちが援助しよう」
願ってもない話に、私は驚いて再び目線を上げた。ものすごくありがたいことだが、一柳さん側にとっては煎茶が買えること以外のメリットがなにもない気がする。
「どうして、私たちのためにそこまで……」と口にしたところで、ふと気づく。もしやこれは、政略結婚というものではないか、と。
「私を娶るための交換条件、ですか?」
「まあ、そういうことになるな」
肯定され、私は考えを巡らせながらひとつ頷いた。
私が嫁に行く代わりに、一柳さんが泰永茶園を助けようとしてくれていることは納得した。しかし、そうまでして私を妻にしたがる理由はなんなのだろう。
「今の条件が、双方に利益があるものだということはわかりました。ですが、結婚相手に私を選ぶ理由は、やっぱりいまいち……」
「勘だ」
「へっ?」
あっさりと返され、首を傾げていた私は間抜け面になる。た、ただの勘ですか。
「ヒトツヤナギが泰永茶園と契約すれば、シェアは広がるだろう。とはいえ、それで需要が増えても生産量を増やすことができなければ意味がない。そのために土地や機械、従業員にかかる費用が必要になるなら、それも私たちが援助しよう」
願ってもない話に、私は驚いて再び目線を上げた。ものすごくありがたいことだが、一柳さん側にとっては煎茶が買えること以外のメリットがなにもない気がする。
「どうして、私たちのためにそこまで……」と口にしたところで、ふと気づく。もしやこれは、政略結婚というものではないか、と。
「私を娶るための交換条件、ですか?」
「まあ、そういうことになるな」
肯定され、私は考えを巡らせながらひとつ頷いた。
私が嫁に行く代わりに、一柳さんが泰永茶園を助けようとしてくれていることは納得した。しかし、そうまでして私を妻にしたがる理由はなんなのだろう。
「今の条件が、双方に利益があるものだということはわかりました。ですが、結婚相手に私を選ぶ理由は、やっぱりいまいち……」
「勘だ」
「へっ?」
あっさりと返され、首を傾げていた私は間抜け面になる。た、ただの勘ですか。



