奥に下がる直前でそちらを振り向けば、数名の外国人を周さんが案内している。
彼が流暢なイギリス英語で話している姿はとんでもなくカッコいいけれど、さらに驚いたのは、彼の口角が上がっていること。
あの堅物な周さんが……微笑んでいる!
お客様相手だから当然なのだろうが、滅多にお目にかかれない微笑みは貴重だし、ちょっぴり嫉妬すら芽生える。
しかし、私の意識はすぐに別のことへと移っていた。
トレヴァーさんとおぼしき若い白人男性が、車椅子に乗っているのだ。それを押している金髪の女性が婚約者だろう。
彼の足にはギプスらしきものが固定されている。周さんはなにも言っていなかったし、最近怪我をしたのだろうか。
とりあえず食器を下げるため奥へ向かうと、厨房から料理を渡されるデシャップ台の前でおば様方も怪訝そうにしている。
「どうしたのかしら、あの足」
「わからないけど……少なくとも、茶室に座ることはできないでしょうね」
ちらりとこちらを見て口にされた言葉に、私も同意見だ。あれではまず正座ができないので、茶室でのお点前は断念するしかない。
彼が流暢なイギリス英語で話している姿はとんでもなくカッコいいけれど、さらに驚いたのは、彼の口角が上がっていること。
あの堅物な周さんが……微笑んでいる!
お客様相手だから当然なのだろうが、滅多にお目にかかれない微笑みは貴重だし、ちょっぴり嫉妬すら芽生える。
しかし、私の意識はすぐに別のことへと移っていた。
トレヴァーさんとおぼしき若い白人男性が、車椅子に乗っているのだ。それを押している金髪の女性が婚約者だろう。
彼の足にはギプスらしきものが固定されている。周さんはなにも言っていなかったし、最近怪我をしたのだろうか。
とりあえず食器を下げるため奥へ向かうと、厨房から料理を渡されるデシャップ台の前でおば様方も怪訝そうにしている。
「どうしたのかしら、あの足」
「わからないけど……少なくとも、茶室に座ることはできないでしょうね」
ちらりとこちらを見て口にされた言葉に、私も同意見だ。あれではまず正座ができないので、茶室でのお点前は断念するしかない。



