「びっくりした……もう、刺激が強いって」


脱力し、情けない声でひとりごちた。

周さんも多少酔っているのだろうが、いつも予期せぬところでこちらを翻弄させる。しかも、やっぱりSだ。間違いない。

ただ、本当にだいぶ酔いは醒めた気がする。もしやそれが彼の狙いだったとか? ……うん、そうだと思っておこう。

もう転ぶことはないが、今しがたの動揺でヨロヨロしながら服を脱ぎ、スピードの速い鼓動を宥めるため熱い湯に浸かった。


木の香りが満ちた温泉宿のようなお風呂はとてもリラックスできるが、あまり長く入っているとのぼせそうだったので、入浴はサッと終わらせた。

浴室の引き戸を開けると、見えるところにジャージが置いてあり、周さんが用意してくれたことがわかる。

どう考えてもジャージは色気がなさすぎよね。私も浴衣にすればいいのか……。今度見に行こう。

いくらかスッキリした頭で考えながら着替え、大きな鏡の前でドライヤーをかける。髪を半分ほど乾かしてから外へ出ると、廊下の窓から外を眺めている周さんがいた。

腕組みをした彼がこちらを向き、目が合ってドキリとする。とっくに部屋に戻っていると思ったのに。