『仕事か?』

『弟の体調が悪くなって…。電話入ってきたんだって…』





誠実、
野球にもバイトにも…家族にも友達や彼女にも精一杯だなぁ。







『そうか。』

『うん…。仕方ないよね。』





ちょっと寂しそうな光里ちゃんがそこにいて、
はじめて見せた表情だった。





『明日帰って来るんだろう?
寂しいよな光里ちゃん…』

『阿佐くん…優しいね』





それが俺の取り柄だからな…


優越感に浸ってしまった。





『まあね』

『自画自賛なの?』




笑う光里ちゃんと目が合うと、
今までになかった気持ちが込みあげてきた。





『まあね。俺の取り柄だからね。』