『そう言うと思ってた。家の裏の川沿い…。
暖かくしてこいよ』





そう言われる頃には既に、
靴を履いていた。





…川沿い……


川沿い…って寒いのに、何故ここ?





『誠実ぃー』



川沿いの石段を立ちあがり、
手を振ってくれる誠実の元に駆け寄っていく。





『寒いじゃん…。何故ここなのー』

『お前、今日凹んでたから。
頭冷やしたかった。』

『コンビニとかあるのに…』

『ひかりに会いたくなったんだ。
ひかりの顔、見たかった』




そう言って、
自分の首に巻いたマフラーを解くと……
私の首に巻いてくれた。





『暖かいけど…誠実、寒くない?』

『ひかりが風邪引く。その方がつらいから』

『誠実…。私は……』



風吹く川沿いで、
キスを重ねたふたり…


寒いはずなのに、
誠実の唇が重なって思考は停止…

そして
急に暖かくなった。