その脇を唯香ちゃんが通り過ぎていくのを見た。





『久しぶりね、初田くん。』

『久しぶり』





短い言葉だったけど、
唯香ちゃんとは楽しく話せるようになっていた。





『お前らお似合いだなぁ。
付き合ってるんじゃないだろうな?』

『バーカ!あるわけないだろ。役員の仲間だ』



誠実にからかいを受ける一方で、
光里ちゃんが戻ってくる。





『捕まらない…。逃げ足が速いわ。あっ、唯香じゃん』

『こいつに気あるよ、あの子。』

『見たら分かるじゃん!』





俺がすべてを壊したんだよ、
今更…


今更引きとめるなんてできるわけがない。

こんな俺に嫌気がさして苦しんで病気になったんだ。



ごめんね、望奈。
悪かったな、望奈。