ゆっくりと丁寧に手紙を開け、文字を追うよ

うに読み出した。

そこには、真ん中に二言書いてあった。




俺の気持ちをここに置いていきます。
愛していたよ。



たった二言。

その言葉が、私の心を大きく揺らす。

そして、私は我慢していた涙が頬を伝ってこ

ぼれた。

「ここに置いていきます。」その言葉は、私

の思いを断ち切ってくれるかのように聞こえ

た。

君は、ここにいる。

私は、手紙を胸元に当てた。

君にとって、最初で最後の恋だったかもしれ

ない。

それでも最後まで愛し続けてくれたんだね。

君との思い出が走馬灯の様に、蘇ってくる。

そして、一つ一つこの手紙の中に入れていく

ように…。

私は、声を抑えながらその晩泣き続けた。

声が枯れるくらい、目が腫れるくらい、そし

て…。

君をここに置いて、歩きだす準備が出来るく

らい…。


『私も、ここに置いていきます。愛していた

よ。』