20日になった。

洗面所の鏡を前に、身支度をいつもよりずっと丁寧にする。

そんな私を見たママ。

「デート?行ってらっしゃい。」

すごーくニヤニヤしている。

「デートっていうようなものでもないよ。」

私は自分の中では「デート」なのに、ついそんな事を言う。

「ふーん。楽しんでおいでね。」

ママはニヤニヤしながら台所の方へ行った。

髪を少しコテで巻いてる時だった。
スマホが鳴る。
平良からだ。

なんだろう?

画面を開く。

「ごめん、ばあちゃん今朝階段から落ちて骨折したらしくて、急いで病院行くことになった。」

えっ?

平良からの文面に、頭が真っ白になる。

正直、すごくショックだった。
仕方がないのは分かる。
でも、初めてのデートだったのに。

私は洗面所を出て、自分の部屋に駆け込んだ。

続けて平良から「ごめんなさい」のスタンプが届く。

もう・・・

やり場のない思い。

私はベッドに突っ伏した。
突然やることがなくなった。

なんとか返事をする。

「おばあちゃん心配だね。気にしないでお見舞い行ってきてね。早く良くなりますように。」

なんでこんなにペラペラ打てるんだろう。
次の約束が、欲しいなあ・・・。