1人になった私は、ソファーに転がりクッションを抱きかかえ天井を見上げた。

今頃、智章さんどうしてるかな…

ちょうどその時、私の携帯が鳴り始めた。

私の直感…智章さんだ。

慌てて携帯を見る。画面に『相沢 智章』と表示されていた。やっぱり智章さんだった。

「…もしもし。」

久しぶりに智章さんと話ができる。私は少し緊張気味に電話に出た。

「もしもし、恋ちゃん。今…話せる？」

「はい、大丈夫です。」

私がそう言うと少し沈黙になる。この沈黙から、恐らく今から智章さんが話す事は私にとって良い話ではない、と感じ取った。

「あのさ、色々考えたんだけど…俺…恋ちゃんと結婚できない。…ごめん。」

「…理由を…聞いてもいいですか？」

「…俺では恋ちゃんを幸せに出来ない、そう思ったから…かな。」

「分かりました。」

私は頭が真っ白になり、電話を切った。

何だか喉が渇き、冷蔵庫から作り置きしていた麦茶をコップに注いで一気に飲み干す。そのコップをそのまま流し台に置き無心で部屋へ行く。

部屋に戻りドアを閉めると、私はドアノブを力強く握りしめたまま下を向き、目を瞑る。

「…あれ？」

気がつくと床にポタポタと何かが落ちる。私は顔を上げ自分の手で目元を確認した。

「私…泣いてる？」

もう一度涙を触り、私は少し微笑む。

「…涙流すのいつ以来だろう。私にもちゃんとこんな感情が残ってたんだ。」

涙は次々と溢れて止まらない。そして私は力無く座り込む。

今日は家に誰もいなくて良かった。だって…何も気にしないでいい…。

そう思いながら、私は1人で思いっきり涙を流した。

そして泣きながら思う。

私、智章さんの事…こんなに好きになってたんだ。

溢れる涙はまだまだ止まる気配がない。

失恋ってどうやって立ち直るんだっけ？泣き続けたら涙と一緒に忘れる事出来るかな？

こんな感情初めてで…どうしていいか分からないよ。

この日、私はただただ泣き続けた…。