音楽のほとりで


ある休日、桜は街中である人物を待ったいた。

その人は、桜がここに到着したすぐ後に訪れる。

「桜、久しぶり。元気だった?」

「元気だったよ、美鈴は?」

その人物は、大学時代の友人の遠藤美鈴だった。

美鈴は、もちろん同じ大学だった尚のことも知っている。

2人は、大学を卒業してからも定期的に会っていて、今日も前々から会うことを約束していた。

「とりあえずカフェ行く?」

「そうだね」

女の人が2人揃えばまずやることはお互いの近況報告で、それをするのに最適な場所はカフェだ。

「適当に入ろっか」

「うん」

桜たちは、空いていてすぐに座れそうなカフェを探すと、そこに入って行く。

とりあえずメニュー表を眺める。

「どれにする?」

「このフルーツティーにしようかな」

オススメ、と書いてあるそれはどの紅茶よりも大きな写真が貼られている。

「これ美味しそうだよね!」

2人は、紅茶に生のフルーツが入っているそれを注文した。

すると、ようやく本題に入った。

「で、桜は最近どうなの?」

桜は、何から話そうかを迷っている。

「なんかあった?」

「それが、尚に告白されて……」

それを聞いた美鈴は、桜の予想に反して特に驚く様子を見せなかった。

むしろ、納得したような顔に見える。

「やっと告白したんだ」

「美鈴、知ってたの?」

「ううん、でも、見てればわかるよ。高倉くんが桜のこと好きだって。桜くらいじゃない? 気付いてないの。だって、あの顔で彼女できないっておかしいじゃない。みんな知ってたし、知らないで告白してる人はみんな振られてたって話だよ」

「そうだったんだ……」

「なのに桜は途中で違う人と付き合っちゃうし。高倉くん可哀想だった」

桜は、何も知らなかった。

「私に彼氏できたのって、尚の留学が決まってからだったっけ?」

「うん、確かそうだったかな」

それを聞いて、桜はなんとなくだけれど尚の考えがわかるようになってきた。