* 次の授業の間、航平と葵が戻ってくることはなかった。 「真鍋さんが体調悪くてそれで久我くんが付き添いにいきました」 誰かが、授業が始まる前にそう先生に伝えていた。 俺は誰がいっていたかもわからないくらい混乱していて、一切内容も頭に入ってこない。 ――「おめでとう」 一番葵には祝福されたくなかった。 子供のころから大好きだった葵だけには。 俺はどうやら、葵以外の人を好きになれそうにないみたいだ。 それはきっとこの先もずっと変わらないだろう。