自宅に帰った登坂は、ネット検索で、夏月の店を調べていた。


「あった」


店のホームページがあった。


こだわり野菜の情報や、レストランのメニューなどを見ていると夏月らしさが溢れていた。


色々と見ていくと、地元の情報誌の取材を受けた記事を見つけた。 


東京の短大卒業後、食品関係の企業に就職したが、実家の農業を手伝うために帰郷。自家製野菜を使ったレストランを始めた。


有機野菜や無農薬栽培など、こだわりの野菜を地元の販売所だけでなく、東京の自然食品の店やレストランなどに出荷。


などなど、紹介されていた。 


「へぇ、すごいな」


感心する、登坂だった。


困っている自分を助けてくれ、誰かも分からないのに一緒に食事をして、お節介と言われながらもきっと誰にでも分け隔て無い人柄なのだと思った。


(今日のお礼もしたいし、絶対、もう一度会いたい)


そう強く思うのだった。


一方、夏月の方は。


「三代目JSB、登坂広臣…、うわっ、カッコいい」


こちらもネット検索。


全く知らない訳ではないが、一人一人を意識して見たことはない。


画像や動画など、色々と見ていく。


「でも、実物の方が良かったかな」


今日出会った登坂は、着飾ることもなく完全プライベートな感じだったがオーラは違う気がした。


「ふーん、ファンの人達は臣くんって言うんだ。32歳?もっと若いかと思ったけど、私より5歳も年上なんだ。へぇ、なるほどね」


とは言いつつも、今後会うことがあるかどうか。


テレビなど一方的に情報は入ってくるだろうが、自分と関わることはまずないだろうと思う夏月だった。