遅刻をする人、しない人。

これはもう体質だから仕方がないって、何かで聞いたことがある。

さらに、遅刻をしない人は“待てる人”と“待てない人”に分かれるとか。

私は遅刻しない派。

学校という集団生活で耐性がついたのか、もともとの性格なのか。

待つのは慣れっこだ。

でも――
待たせることには慣れていない。


「ごめんね、この前もだったよねっ」


三谷くんは私を待っていてくれる。


「謝ることないよ。遅れそうだと思って急いだら案外早くついちゃったんだ」


私を見つけた瞬間の彼の優しい笑顔。

嬉しそうで、どこか安心したような、そんな表情にキュンとする。


「溝口さんこそ」

「へ?」

「まだ約束の時間まえだよ」


時刻は午後1時52分。
図書館のエントランスに
待ち合わせ予定より早く集合完了。

私たちって、つくづく優等生体質だと思う。


「僕、時間に正確な人って――」

「え?」

「すごく好きだよ」

「……!」


(三谷くん、反則です……!)


「わ、私もっ……」

「うん。それじゃあ、行こうか」


(私も、すごく好き)


私ってば浮かれすぎ?
過剰反応しすぎ?


(こんなんで心臓持つのかなぁ)