すきなひとの、すきなひと




ずっと一緒は、ずっと……恋人にはなれずに、ずっともがき苦しむあたしを、ずうっと締め付けてくる言葉。



「元弥」



小さく囁く。どうして、あたしは弱いんだろう。



どうして……。



「ひゅーっ、豊見やるじゃーん!デートのお誘いなんて」



男子のひやかしを受け、真っ赤になった元弥が



「あっ、ちが……下心とか、そういうんじゃ……なくて。純粋に、遊びたくて……えっと、その、」



本当に、すきだ。



元弥に下心があっても、なくても、これからのあたしの未来は変わらない。



だって、あたしに勇気がないんだもん。



すきなひとの、すきなひと。



元弥のことが、すきなあたし。