幸せな結末

「痩せることなんてないわよ。朝陽もそう思うでしょ?全くあんたは理恵ちゃんには昔から厳しいんだから。そのうち愛想つかされるわよ。」
朝陽の母の言葉に、理恵はちくりと心を痛めながら愛想笑いで返す。
愛想つかされるのは自分かも知れないなんて、言えなかった。

「中に入れてくれよ」
朝陽の言葉に朝陽の母がはっとした表情になる。
「そうね。理恵ちゃんのためにたくさん料理したのよ?食べきれなくても持って行ってね。」
「うれしいです。」
朝陽は理恵の肩をポンと触れる。
「ん?」
理恵が振り向くと朝陽が理恵の耳元でささやいた。
「具合悪くなったら合図しろよ?」
「うん」
まだ薬の副作用がある理恵の体調を気遣い、本当は朝陽の実家へもしばらくは来ないつもりだった。でも義母からの連絡に理恵が朝陽の実家へ行くことを約束したのだった。
朝陽は理恵を心配しているが、両親には理恵の体調のことは話していなかった。