「奥様の病状を聞かれて和田先生慌てていらっしゃったから携帯電話を置いたままで、届けに来ました。」
「主人の同僚の方ですか?」
理恵の言葉に一瞬間を置いて女性は理恵をまっすぐに見た。
その視線の力に理恵は屈しそうになる。それでも目をそらさないように必死で目線を向けた。
「私、外科で医師をしています。高沢裕子と申します。ご主人は私の医大の先輩で、日ごろから大変お世話になっています。」
そのことばひとつひとつに理恵は勘ぐってしまう。
どんなお世話?と聞きたくなるのをこらえながら理恵は微笑みながら
「私から渡します。ありがとうございました。わざわざお届けいただいて。」
理恵が手を伸ばすと裕子は少しためらってから理恵の手に携帯電話を渡した。
まるで朝陽に会いたかったかのように感じた理恵はどうか朝陽が戻ってきませんようにと願った。
私ってなんて小さい女・・・。そんなことを考えながら、裕子が病室をでていく後ろ姿を見ていた。
裕子が持ってきた朝陽の携帯電話。
今までは誰かの携帯電話を見る女性の気持ちが全く理解できなかった理恵。
「主人の同僚の方ですか?」
理恵の言葉に一瞬間を置いて女性は理恵をまっすぐに見た。
その視線の力に理恵は屈しそうになる。それでも目をそらさないように必死で目線を向けた。
「私、外科で医師をしています。高沢裕子と申します。ご主人は私の医大の先輩で、日ごろから大変お世話になっています。」
そのことばひとつひとつに理恵は勘ぐってしまう。
どんなお世話?と聞きたくなるのをこらえながら理恵は微笑みながら
「私から渡します。ありがとうございました。わざわざお届けいただいて。」
理恵が手を伸ばすと裕子は少しためらってから理恵の手に携帯電話を渡した。
まるで朝陽に会いたかったかのように感じた理恵はどうか朝陽が戻ってきませんようにと願った。
私ってなんて小さい女・・・。そんなことを考えながら、裕子が病室をでていく後ろ姿を見ていた。
裕子が持ってきた朝陽の携帯電話。
今までは誰かの携帯電話を見る女性の気持ちが全く理解できなかった理恵。



