幸せな結末

体が思うように動かないことが続くと家事はほとんどできていない。
朝陽と二人で出かけるのも近所のスーパーくらいが限界だった。

理恵は心に大きなしこりができたかのようにずきずきと痛みだした。

「和田さん、急患です。オペ室、入れますか?」
「はい」
理恵は体調に合わせて勤務内容も変更していた。外来だったり、病棟だったり、オペ室だったり。
看護師としての経験があり、産婦人科だけではなく外科での勤務経験がある理恵は緊急のオペでも戦力になれる。

体調が安定している時間はオペ室に入っていた。

「ご主人はこちら側で座っていてくださいね。」
緊急の帝王切開術。理恵は緊張している患者の夫に椅子を用意した。
「今から奥さんが身支度を整えてこちらに入ります。お待ちくださいね。」
「あの・・・。」
「はい?」
患者の夫が椅子から立ち上がる。