幸せな結末

「理恵?」
朝陽の声に理恵はうつろな目で反応する。
「大丈夫か?」
「ちょっと…辛い」
理恵がつらいと口にするのはよほどだと朝陽は心配そうな顔になる。
「吐きそう?顔色悪いな。」
理恵は不妊治療の薬と甲状腺ホルモンの薬を飲み始めてから体調不良なことが増えた。
「仕事、休むか?」
「うーん。大丈夫。」
理恵は何とか体をベッドから起こす。理恵が起き上がるのを朝陽は手伝った。
「もうすぐやめるのに、休めないし。」
理恵はほとんどの引継ぎを終えていて、あとは後任の看護師が入ればすぐにでも辞められる状態だった。それでも最後まで責任を全うしたいと思う気持ちは朝陽にも理解してもらっていた。
「無理はするなよ?」
「ありが・・・っ・・・!」
そこまで言いかけて理恵はトイレへ駆け込んだ。
副作用で髪がぬけたり、めまいや吐き気に襲われることもある。やけに熱く感じたり寒く感じたり・・・。その日により症状も様々だった。