「痛い・・・」
朝陽に手のけがを消毒してもらいながら理恵は涙目だった。
「我慢」
手際よく朝陽が傷を消毒してガーゼや包帯を巻いていく。
「上手だね」
理恵の言葉に朝陽は少し照れながら「ばか」と答える。
「だって普通はこれは看護師の仕事でしょ?」
医師が消毒や傷の確認はしても包帯を巻くのは看護師が行うことが多い。
「俺器用だから」
確かに朝陽は器用だ。細かな作業も、なんでも器用にこなしていくタイプ。どちらかというと理恵は不器用でがつがつ回数をこなして上達するタイプだった。

「体、あったまったか?」
朝陽とお風呂に入り、理恵は体が温まった。
「これも症状の一つだったのかな?薬の作用?」
理恵は甲状腺機能低下症についてほとんど知識がない。
「全身機能の低下にもつながるし、今の理恵の数値から考えるとかなり進行して悪い状態だ。寒気もその中の症状の一種だ。明日、体調が少し落ち着いたら専門の医師に診てもらおう。」
「・・・ごめんね」
自分のせいで迷惑をかけていることを朝陽に謝ると朝陽は理恵の頬に触れた。