「ばか」
理恵の気持ちを察した朝陽が微笑み返す。
「・・・ちょっと・・・しんどい」
そうやって笑いあっていても、理恵は立っていることすらつらくて膝に左手をつこうとした。
すぐに朝陽が支えてくれる。
朝陽が浴槽にお湯を張っていてくれた。

理恵は朝陽に支えられながら浴槽に体をつける。
「気持ちいい。あったかい。」
体にうまく力が入らない理恵を、一緒に朝陽も浴槽に入り後ろから支えた。
「手、気を付けて」
けがしている手が濡れないように浴槽から右手を出し、その分朝陽が理恵の右腕にお湯をかける。
全身の血がやっとめぐってくるようで理恵は目を閉じ朝陽の体に寄りかかった。
「寝るなよ?」
「・・・うん」
あまりの心地よさに眠気すら感じる。
ふと鏡を見て自分が倒れてけがした時の状況を思い出し体が震えた。
「寒い?」
朝陽が理恵の顔を覗き込む。