幸せな結末

理恵がベッドに腰を掛けていると病室の扉がノックされた。
理恵が振り向くとそこには朝陽が立っていた。
「着替え、持ってきた。」
救急車で運ばれるときに手からの出血で理恵の着ていた服が汚れてしまい、朝陽は家に取りに行ってくれていたらしい。

朝陽が戻ってきてくれただけで理恵の瞳から再び涙があふれた。

理恵が泣くことは今までめったになかった。
朝陽が理恵の涙を見たのは数えるほどしかない。

そんな理恵の涙に朝陽は理恵をそっと抱きしめた。

「ごめん。理恵。ごめん。」
朝陽の言葉の意味が分からない。何がごめんなの？なんで謝るの？何を謝るの？

理恵には怖くて聞くことができなかった。
でも「いやだ。離れたくない。」と涙に詰まりながら理恵は朝陽に伝えた。消えそうな声で・・・。