理恵は朝陽の背に自分の手をまわした。
けがしていても今は痛みを感じない。

この手から朝陽を手放したくない。

けがしている手を気にせず、ありったけの力で理恵は朝陽の服を握りしめた。

朝陽は理恵のけがしているほうの手に、自分の手でそっと重ねた。そして理恵の手がこれ以上傷つかないようにしながら再び理恵を抱きしめる。

久しぶりに感じる朝陽のぬくもりに包まれて理恵は涙を流し続けた。

これはお別れのあいさつじゃないよね・・・?



不安な気もちのまま理恵は朝陽の背中に回したもう片方の手に力を入れ続けた。