幸せな結末

数日後。
「え？俺も？」
「私はさっき抱かせてもらったから。」
理恵の言葉に朝陽が慌てている。

樹が出産してから数日たち、友人たちが病室に集まっていた。

「はい」
朝陽は自分の腕に赤ちゃんを渡されてかなり焦っている。
それでも大きな朝陽の腕に抱かれて赤ちゃんはすやすやと眠っていて朝陽は愛おしそうに目を細め、優しい微笑みを向けていた。
理恵はそっと朝陽に気づかれないように涙を拭った。
この人の腕に自分との子供を抱いてほしかった。この人に、自分の子供を抱かせてあげたかった。現実を受け止めたつもりでもふとした時に涙があふれる。
「泣き虫がうつるだろ」
と朝陽が理恵を見て微笑む。
こうして理恵が泣きたくなる時は最近いつもそばにいてくれる。理恵はそんな朝陽に感謝をしながら自分たちの幸せの形を見つけていけるような気がしていた。