「わさび抜きは彼女で。」
朝陽はからいものが苦手な理恵のためにわさび抜きで注文してくれていた。
そんな気遣いすらくすぐったく感じる。
「はい」
理恵は朝陽に自分のご飯を半分分けた。
「わかってるな」
ごはんが多くて食べきれない理恵のご飯と、普通の量だと足りない朝陽。いつもこうして食べていた。
「おいしい」
二人は夢中で食事を済ませると朝陽の運転で湊の家に向かっていた。

マンションの入り口につくと二人の間に少し沈黙が流れる。
「じゃあ行くね。」
「あぁ。」
「ごはん、ごちそうさま」
朝陽が昼食代は払ってくれた。
「いいえ。」
理恵が車から降りると朝陽は助手席のドアを開けた。